artscapeレビュー

魅惑のニッポン木版画

2014年05月15日号

会期:2014/03/01~2014/05/25

横浜美術館[神奈川県]

開館25周年を記念する展覧会……のわりに木版画だけに絞った、しかも自館のコレクションをベースにした地味な展示。だからタイトルだけでも「日本」ではなく「ニッポン」にして、おまけに「魅惑の」をつけて客を呼ぼうとしたのか、などと邪推はしない。展示は、江戸末期の歌川豊国(三代)あたりから月岡芳年、小林清親、竹久夢二、川瀬巴水、柄澤齊、風間サチコあたりまで200点以上ある。このなかで、サイズといいテーマといい見せ方といい、よくも悪くも木版画の概念を踏み外し、トリックスター的役割を果たしてるのが最後のほうの吉田亜世美と風間サチコのふたり。もはや「魅惑の木版画」という枠を破壊してしまっているのだ。ちなみにこのふたりの作品は大半が個人蔵となっているけど、横浜美術館がまとめて買っちゃえば?

2014/04/22(火)(村田真)

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