artscapeレビュー
椿会展2014──初心
2014年05月15日号
会期:2014/04/10~2014/05/25
資生堂ギャラリー[東京都]
赤瀬川原平、畠山直哉、内藤礼、伊藤存、青木陵子の5人展。幅広い世代の絵画、写真、インスタレーションなどの発表だが、見てよかったと思えるのは赤瀬川と畠山の作品。赤瀬川はクラシックカメラを克明に写生した鉛筆画90点を並べている。カメラ雑誌の連載エッセイのために描いたイラストで、これだけ並ぶと壮観だ。フリーハンドながら細部までナメるように丹念に描かれ、機種名や部品名なども記されていて、カメラへのフェティッシュな愛情を感じさせる。オタク老人の面目躍如。畠山は人けのない山間部で撮った送電鉄塔の写真を出品。とくにスイスの山奥に打ち捨てられた鉄塔の残骸写真は、自然のなかで組み立てた鉄骨によるインスタレーションの記録写真のようで、幻想的ともいえる奇妙な空気感が漂う。若いアーティストとは経験値の差を感じてしまう。
2014/04/15(火)(村田真)
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