artscapeレビュー
幸福はぼくを見つけてくれるかな?──石川コレクション(岡山)からの10作家
2014年05月15日号
会期:2014/04/19~2014/06/29
東京オペラシティアートギャラリー[東京都]
入口を入るといきなりスタッフに名前を聞かれたので、答えると「村田さーん」と叫ばれる。一瞬なんなんだと思ったけど、これも作品のひとつと理解する。岡山の石川康晴氏が集めたおもにコンセプチュアルな作品を紹介する展覧会。以下、ペーター・フィッシュリ+ダヴィッド・ヴァイス、ライアン・ガンダー、リアム・ギリック、島袋道浩、小泉明郎らの映像や言葉による作品(らしからぬ作品)が続く。作品そのものに感心するより、こんな作品をコレクションするほうに感心するし、それを発想するアーティストや売りつけるディーラーにも感心する。ほとんどペテン師と紙一重じゃね? 唯一笑えたのは、壁面の中央に眼球と眉毛を埋め込み、観客が近づくとキョロキョロ動くライアン・ガンダーの《マグナス・オパス》(直訳すると「偉大な作品」?)。ちなみに、入口で名前を叫ぶのはピエール・ユイグの《ネーム・アナウンサー》で、鑑賞ガイドには「パフォーマンス:入口に人、指示書」と記載されている。この場合コレクションされているのは「指示書」だけだろう。これなら倉庫も必要ない。
2014/04/26(土)(村田真)