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通崎睦美選 展「通崎好み──コレクションとクリエイション」

2014年07月01日号

会期:2014/05/20~2014/06/29

東大阪市民美術センター[大阪府]

通崎睦美は音楽家である。その事実をあらためて実感させられる展覧会であった。
本展は二会場構成。第一会場には、銘仙きもの、はきもの、半襟などのアンティーク・コレクションと、アーティストたちとの共同作業で誕生した浴衣ブランド・メテユンデ関連の展示、須田剋太と小磯良平による幼少期の通崎の肖像画、谷本天志による新作のきものなど、「通崎好み」のものが賑かに溢れている。全体を見渡すと、文字通り「好み」としか言い表わしようがないものの存在がたしかに感じられる。アンティーク着物のコレクターとして、文筆家としての通崎の旺盛な活動に触れるといつもその多才ぶりに驚かされるが、そこから浮かび上がってくるのは独特の美意識であり、しかも日々の生活のなかで磨かれてきた活き活きとした美意識である。アサヒビール大山崎山荘美術館での展覧会★1から10年を経て、その美意識がいっそう明確にいっそうシンプルに見えてきたように思う。
とはいえ、本展での発見は第二会場にあった。ここには、昨年上梓された通崎睦美『木琴デイズ──平岡養一「天衣無縫の音楽人生」』(講談社、2013)にまつわるものが展示されている。同書は昭和期にアメリカと日本で活躍した木琴奏者・平岡養一の人生を綴ったドキュメンタリーである。執筆のために収集された各種資料や、当時の木琴人気を物語る玩具や楽譜などが展示されている。ことのきっかけは通崎と平岡の木琴との出会いにあったという。楽器を、音を、演奏を介して、音楽家同士、通じ合うものがあったのである。会場では、第一会場にあった楽しさや親しさは気配を鎮め、少しばかり近寄りがたい静かな集中力が感じられた。
音楽は目に見えない抽象的なもの。そして音楽の演奏はライブ、まさに生き物で、その場で体験することしかできない。そんな刹那の世界と、時を超えて、色や形、質や量をもって存在するアンティーク着物の世界、本展ではその二つの世界を併せ持つ通崎睦美の世界に触れることができる。[平光睦子]

★1──通崎睦美選 展「通崎好み」2004年5月11日~6月20日


展示風景

2014/05/26(月)(SYNK)

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