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杉浦康益 展「陶の博物誌─自然をつくる」

2014年07月01日号

会期:2014/06/07~2014/08/03

西宮市大谷記念美術館[兵庫県]

石や岩を写し取ったかのような《陶の石》と《陶の岩》、大規模なインスタレーションである《陶の木立》、花や実を詳細に描写した《陶の博物誌》などの陶製オブジェ作品で知られる杉浦康益の個展。筆者は彼の作品を見た経験が少なく、《陶の博物誌》以前の仕事を見られたのが収穫だった。《陶の岩》は、まるで本物かと思うほどリアルだったが、陶以外でも可能な表現ではなかろうか。一方、《陶の木立》は、大規模なインスタレーションでありながら、ディテールを見ると陶ならではの質感が感じられた。そして、本展で最も見応えを感じたのは《陶の博物誌》であった。花や実を徹底的に観察し、その内部構造まで精緻に再現した本作は、陶である必然性云々を超え、作家の執念すら感じられるほどだった。

2014/06/10(火)(小吹隆文)

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