artscapeレビュー
国際現代アート展なら2014:後期特別展 美の最前線・現代アートなら~素材と知の魔術(マジック)~
2014年07月01日号
会期:2014/06/14~2014/07/21
奈良県立美術館[奈良県]
滅多に現代美術を扱わない奈良県立美術館が、今年はすでに2度も現代美術展を行なっている。その第1弾は、CCGA所蔵の版画の名品を紹介した「アメリカ現代美術の巨匠達」(4月~5月)であり、第2弾で、奈良とゆかりのある現代美術作家7名(ふじい忠一、竹股桂、森口ゆたか、絹谷幸太、三瀬夏之介、菊池孝、下谷千尋)を紹介するのが本展である。会場は一人あたりの展示面積が広く設定されており、どの作家も力の入った展示を見せてくれた。特に三瀬夏之介と下谷千尋の展示は迫力があった。ふじい忠一の巨木を捻じ曲げた立体も観客を驚かせたのではないか。また、菊池孝は過去の作風とは異なる展開を見せており、興味深く鑑賞した(私が久々に彼の作品を見たせいかもしれないが)。同館が現代美術に積極的になった背景には、全国各地で隆盛する地域型アートイベントが影響しているのかもしれない。1、2度の実績で性急に判断するのではなく、長期的な視点で現代美術展を継続してほしい。
2014/06/14(土)(小吹隆文)