artscapeレビュー
琳派からの道 神坂雪佳と山本太郎の仕事
2015年12月01日号
会期:2015/10/23~2015/11/29
美術館「えき」KYOTO[京都府]
明治・大正・昭和初期の京都で活躍した画家・図案家の神坂雪佳(1866~1942)と、古典絵画と現代風俗をミックスした「ニッポン画」を標榜する山本太郎(1974~)による、時空を超えた2人展。神坂は、絵画、版画、木工、漆芸、陶芸、図案など約50点、山本は、絵画、版画、陶器約40点という構成であった。両者をつなぐキーワードは、山本が神坂を「敬愛」していることと、今年で誕生から400年を迎えた「琳派」である。琳派は私淑により時代を超えて受け継がれてきた芸術様式なので、本展における2人の関係性は、まさに琳派的と言えるだろう。作風は、神坂が琳派直系の雅(みやび)さを有するのに対し、山本は諧謔(かいぎゃく)精神が持ち味。尾形光琳の《紅白梅図屏風》をモチーフにした《紅白紅白梅図屏風》や、俵屋宗達の《風神雷神図屏風》に今年30周年を迎えたゲーム「スーパーマリオブラザーズ」を掛け合わせた《マリオ&ルイージ図屏風》はその好例である。しかし、敢えて1点を挙げるとすれば、山本の《信号住の江図》(版画)を推したい。神坂の《住の江図》の版木と自分の版木を重ね摺りした本作こそ、この展覧会の意義を体現しているからだ。
公式サイト http://www.rimpa400.jp/
2015/10/22(木)(小吹隆文)