artscapeレビュー

今村源+東影智裕 共生 / 寄生─Forest

2015年12月01日号

会期:2015/11/07~2015/12/05

ギャラリーノマル[大阪府]

菌類をモチーフとした立体作品で知られる今村源と、動物の頭部を細密な毛並みととともに表現する東影智裕が、「共生 / 寄生」をテーマにコラボレーション展を開催。京都市立芸術大学美術学部教授の加須屋明子がキュレーションを担当した。展示は、鉄パイプが林立する足場の上に巨大な鹿の頭部を配した2人の共作を室内中央に配し、周囲をそれぞれの作品が取り巻くように構成。別室では版画作品も見られた。彼らがモチーフとする菌類と毛並みは、「世界をわけ隔てる曖昧な境界」に存在する。それは異界への出入口であり、無数の主が複雑な関係を結びながら共存共栄するために必須の仕組みと言える。会期中にパリで同時多発事件があり(11/13)、人間社会に共生の精神が失われつつあることが露わになった。偶然とはいえ、そうしたタイミングで本展が行なわれたのは非常に示唆的である。

2015/11/14(土)(小吹隆文)

2015年12月01日号の
artscapeレビュー