artscapeレビュー
新発見の高麗青磁──韓国水中考古学成果展
2015年12月01日号
会期:2015/09/04~2015/11/17
大阪市立東洋陶磁美術館[大阪府]
韓国国立海洋文化財研究所が調査した高麗青磁に関する最新成果を紹介する展覧会。大阪市立東洋陶磁美術館が有する館蔵品の参考出品を含め、およそ200点の資料が展観された。興味深いのはこれが水中考古学に依拠して、海底から発掘された遺物であること。14世紀の船沈没「新安船」が1970年代後半に発見されて以来、沈没船から引き揚げられた陶磁器は数万点に上る。それらの資料は高麗青磁の生産・流通経路・編年・用途等がその水中発掘物から徐々に判明してきた様子を物語っている。「青磁獅子形香炉蓋」などあまり例を見ない力強い造形作品から、「青磁瓜形水注」や「青磁象嵌菊牡丹柳蘆竹文梅瓶」のなだらかで優雅な曲線を描く形、青磁皿の各種にみられる自然を写した陰刻文様の美しさ、木簡や船に積載された稲・粟・蕎麦等の具体的な出土品までを実見できる。発見された約800年以上も前の品々が、ほぼ当時の状態を保ちながら海中に眠っていたことに思いを馳せると、ロマンをかきたてられる。[竹内有子]
2015/11/14(土)(SYNK)