artscapeレビュー
海のプロセス─言葉をめぐる地図(アトラス)
2017年07月15日号
会期:2017/06/09~2017/06/18
東京都美術館ギャラリーB[東京都]
波の打ち寄せる海岸の写真や、ブリューゲルの《バベルの塔》(ただしウィーン美術史美術館の)の画像を使った井川淳子、海岸で拾い集めた色とりどりのガラス瓶のカケラを組み合わせて、1本の瓶を復元する平田星司ら、4人のグループ展。いちばん心にしみたのは、福田尚代の《エンドロール》。都美の古い陳列ケースのなかにしわくちゃの紙が何十枚も敷かれ、それぞれの紙には記号のようにも模様のようにも見える細かい線がびっしり埋め尽くしている。福田のノートに「ひとりの人間が一生のあいだにつづる膨大な文字とは、はてしのない、たったひとすじの息ではないか」とある。息するように字を書く……というより、字を書くことは生き続けること。これは絵も同じかもしれない。
2017/06/18(日)(村田真)