artscapeレビュー

フェルメール展

2019年04月01日号

会期:2019/02/16~2019/05/12

大阪市立美術館[大阪府]

「フェルメール展」は東京のプレス内覧会でも見たが、作品が何点か入れ替わったので様子を見に行く。《牛乳を注ぐ女》はオランダに帰ってしまったが、ドレスデンから《取り持ち女》が来ているので楽しみ。東京では大混雑が予想されたため予約制だったが、大阪は予約なしで見られるので気楽だ。でも多少は混んでるだろう、20-30分は並ぶかなと覚悟していたら、ぜんぜん並ばずに入れた。大阪人はフェルメールに興味ないんかい!?
展示構成は、まず左側のギャラリー4室で17世紀オランダの肖像画、物語画、風景画、静物画を見てから、右側のギャラリー1室で風俗画を鑑賞。残る3室でフェルメール6点だから余裕の配置だ。と思ったら、メツーの《手紙を読む女》と《手紙を書く男》の対作品がフェルメール部屋にあった。フェルメールとの表現の差異を際立たせるにはいいアイディアだと思ったが、おそらくフェルメール部屋がスカスカに空きすぎたんで持ってきたに違いない。

東京展の内覧会のときになかったのは《取り持ち女》と《恋文》の2点。後者は何度か日本に来ているが、《取り持ち女》は日本初公開という。ぼくはドイツが統一してまもない91年にドレスデンまで見に行ったので(ドレスデン国立古典絵画館にはもう1点《窓辺で手紙を読む女》がある)、28年ぶり2度目の対面。この作品は宗教画から風俗画に移行する初期の作品と見られ、サイズも大きいが、昔見たときより色がずいぶん鮮烈に感じられたのは気のせいだろうか、あるいは統一後、作品の洗浄が行なわれたのかもしれない。と思ってカタログを見直したら、果たして2002-04年に修復が行なわれたという。フェルメール作品は青以外、色彩についてはあまり語られないけど、こんなに鮮やかな色づかいをしていたとは驚き。

2019/03/15(金)(村田真)

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