2020年06月01日号
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artscapeレビュー

リニューアルされたMoMA

2020年02月15日号

ニューヨーク近代美術館(MoMA)[米国、ニューヨーク]

昨年末にリニューアル・オープンしたニューヨーク近代美術館(MoMA)を見学した。これは2004年の谷口吉生による増改築に続くプロジェクトになったが、ディラー・スコフィディオ+レンフロが手がけている。彼らはハイラインや《ザ・シェッド》に続く抜擢であり、今やニューヨークの顔をつくる建築家だ。もっとも、外観のイメージが大きく変わる、派手なリノベーションではない。主に室内の空間構成やシークエンスを設計している。一階は動線の混雑を解消すべく、チケットカウンターのエリアを新設し、道路に面した無料のギャラリーや、階段で半地下に導入するショップがつくられた。



ショップ


展示エリアとしては、西側に大きく面積を増やし(リチャード・セラの巨大作品を置くことができるスペースも登場)、上下のフロアを眺望が良い階段でつなぎ、ここでも動線の改善をはかっている。またパフォーマンスなどに使うスタジオ、クリエイティビティ・ラボなどが導入された。全体に彼ららしい洗練されたデザインが展開している。



西側に新設された階段



西側



西側



無料ギャラリーでの展示《Mine Kafon



リチャード・セラの展示空間


19世紀から21世紀までのアートの動向を紹介する3フロアに及ぶ常設エリアは、美術、建築、デザインを混ぜていることも目を引く。したがって、同時代性において相互の分野を見ることができるのだ。もちろん、ジャンルを超えた膨大なコレクションを持つからこそ可能な複合タイプの展示とも言えるが、日本でもこういうコレクションの展示を見たい(通常は、どうしても美術の流れだけになってしまう)。20世紀の展示スペースを紹介する建築の部屋では、MoMAの建築の歴史を振り返ることに加え、採用されなかった興味深い初期案も知ることができる。



ボツになった初期MoMA案


なお、日本人の作家はどれくらい入っているかも確認していたが、気づいたところでは、西沢立衛や草間彌生らの名前を見つけた。ただし、アメリカの近現代美術で知られるホイットニー美術館のコレクションでも、草間を含むことを踏まえると、ニューヨークに在住したアメリカ的な作家としての意味合いも強いかもしれない。逆にMoMAの常設において、中国の存在感は強く、特に天安門事件の前後をめぐるアート表現に関して、一部屋を使い、特集展示も行なっている。

2020/01/16(木)(五十嵐太郎)

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