2021年09月15日号
次回10月1日更新予定

artscapeレビュー

藤原彩人 軸と周囲 ─姿としての釣り合い─

2021年09月01日号

会期:2021/07/15~2021/08/01

gallery21yo-j[東京都]

陶で人形(ひとがた)彫刻をつくってきた藤原の個展。今回は大きめの彫刻4点を中心に、手捻りの小品やドローイングを加えた展示。これまで藤原のつくってきた人物は、なで肩で足が短く重心が下のほうにあるため、見るからに不格好だった。それは陶土で成形して焼くため、重心が高いと崩れやすく、立たせるのが難しいからだと聞いたことがある。ところが今回の人物は、胴や手足は円筒、目玉は球体といったようにシンプルな幾何学形態を組み合わせたようなかたちをしており、不格好ではない。むしろ印象としては「モダン」で「カッコいい」。それはおそらくキュビスムを想起させるからではないだろうか。

キュビスムはよく知られるように、セザンヌの「自然を円筒と球体と円錐で捉える」との言葉を具現化し、対象を円柱や立体の組み合わせとして再構成した。藤原の彫刻も身体を分節化し、胴体や頭部、手足などを単純な形態に置き換えて接合したため、重心が低くならず(座像であることもその要因だが)、モダンでカッコよく、安定した印象を与えているのだ。考えてみれば、人間とは形態的には口から肛門までが空洞の一本の筒に還元できるわけで、中身が空洞(頭もからっぽ?)の筒の組み合わせからなるこの彫刻は理にかなっている。いずれモビルスーツのガンダム型に進化するだろうか。

2021/08/01(日)(村田真)

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