artscapeレビュー

桜を見る会

2023年06月01日号

会期:2023/04/08~2023/04/29

eitoeiko[東京都]

新宿御苑での集会が中止になった2020年から、会場を同じ新宿区内のeitoeikoに移して(?)開催されている「桜を見る会」も、早4回目。ただ桜の開花が年々早まっているため、開催時にはもう花は散っているが、花見をしそこなった人には絶好のチャンス(なわけないか)。今年はメキシコからの2人を含めて7人の展示。

初登場のMESは、国会議事堂の外壁に強力なレーザーポインターを使って巨大な中指を立ててみせた。中指を立てるのはアイ・ウェイウェイやマウリツィオ・カテランらが作品化しているし、建物に批判的プロジェクションをする試みもウディチコやゼウスがやっているので珍しくないが、さすがに国会議事堂に中指というのは初の快挙といっていいだろう。なぜこんなことができたのかというと、中指を立てたかたちをそのまま映し出すのではなく、あらかじめ中指の輪郭線をプログラミングしたレーザーポインターで数秒かけて描き出したからだ。それを数秒間の露光で撮影すれば中指が浮かび上がるって仕掛け。もちろん何度も試し描きできるわけではないので、周到な準備を重ねたうえでの行動だったことがわかる。

「桜を見る会」常連の(というとアレだが)岡本光博の作品は、相変わらず冴えている。今回は「表現の不自由展」をテーマにした2点で、ひとつは「表現の不自由展 中止に」という朝日新聞の記事をプリントしたボックスの上に、3台のミニチュア街宣車を置いたもの。街宣車の車体には旭日旗や日本地図が(北方四島だけでなく千島列島も)描かれ、ナンバープレートには実際に会場に押しかけた街宣車のナンバーが極小数字で記されている。その隣には「有罪確定 ろくでなし子不屈」の新聞コピーをプリントしたピンク色のボックスを並べており、ろくでなし子が「表現の不自由展」から外されたことへの不満の表明と見ることもできる。



展示風景 岡本光博作品 [筆者撮影]


藤井建仁による安倍元首相夫妻の鉄面皮彫刻は、第8回岡本太郎現代芸術賞展(2004)で準大賞を獲得した作品の一部。どうりで髪型は若いが、人相は相変わらずよろしくない。併せて、コロナ禍のひきこもり生活で安倍氏が星野源の曲に合わせて撫でていた愛犬も彫刻化。今回はメキシコからも、日本の招き猫とメキシコの心臓を合体させて桜色に染めたイレアナ・モレノ、手彩色のエロマンガを陶器に焼きつけたアレハンドロ・ガルシア・コントレーラスが出品。ふたりとも展覧会の意図をよくわかっているようだ。


公式サイト:http://eitoeiko.com/exhibition.html

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