2019年10月15日号
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artscapeレビュー

バウハウス90周年〈1〉──バウハウス・デッサウ展

2009年02月01日号

会期:2009年1月25日~2009年3月29日

宇都宮美術館[栃木]

バウハウス・デッサウ展は、昨年4月に東京藝術大学大学美術館で立ち上がり、二カ所の巡回を経て、いよいよ1月24日より宇都宮美術館で開催される。デッサウのバウハウス校舎は世界遺産に指定されるなどモダンデザインの歴史的記念碑としての地歩を一層高めている観がある。その意味では、バウハウス・デッサウのコレクションを中心にしたこの展覧会は、モダンデザインのルーツに触れる好機であることに疑問の余地はない。

 他方、90年経ったからこそ、バウハウスを絶賛する態度から一歩距離を引いてみる見方があってもいいのではないかと思う。レジェンドは、ある意味、単純であるがゆえに訴求力を持ちうるのかもしれないが、「第一次世界大戦敗戦直後の瓦礫から立ち上がり、モダンデザインの基礎を築いたものの、1933年にナチスに閉鎖されました」という一連のクリシェからそろそろ脱してもいい時期ではないかと思う。実際、閉校後、バウハウスの関係者のなかには第三帝国下で有用なデザイナーとして活躍した者も少なくない。第三帝国の文化との断続と連続、あるいは、バウハウスに先立つ、アーツ&クラフツ運動との断絶面と連続面を検証していくという新たな視点での「バウハウス」の再考や再解釈ができる時点に来ているのではないか(すでに紹介したが、東京都美術館で同日にオープンする「生活と芸術──アーツ&クラフツ展 ウィリアム・モリスから民芸まで」と併せて見るという見方をぜひお勧めしたい。特に、同展で展示されているペーター・ベーレンスのヤカンをじっと見ていただきたい。そこにモダンデザインの連続と断絶が見えてくる)。

 事象を単純化して礼拝の対象として見せることも展覧会の技であるが、クリシェ化したヴィジョンを解体して新たな光を当てることができるのも展覧会の醍醐味である。そういう切り取り方は、たとえば、現代のアート&メディア&テクノロジーの最先端の状況と重ね合わせて、バウハウスの理念の到達点と限界点を検証することによっても可能だろう……。バウハウス100年となる2019年、必ずやバウハウスの展覧会が開催されるだろうが、そのときこそバウハウスを新たな光の下に照らし出すような展覧会が現われんことを祈ってやまない。

 なお、今年はバウハウス90周年の記念すべき年であるので、このコーナーで関連するイベントや展覧会などを取り上げていきたい。今回はその第一回目にしたいと思う。

画像:バウハウス・デッサウ展(宇都宮美術館)の展覧会カタログ[筆者撮影]

2009/01/23

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