artscapeレビュー

新人画会展 戦時下の画家たち

2009年02月01日号

会期:11/22~1/12

板橋区立美術館[東京都]

戦中の1943年、靉光、麻生三郎、糸園和三郎、井上長三郎、大野五郎、鶴岡政男、寺田政明、松本竣介の8人の画家によって結成された新人画会。本展はその全貌に迫る好企画。現存する資料が少ないなか、当時の展覧会を見た者の証言を聞き取り、出品作品を特定ないしは推測するなど、学芸員の堅実な調査研究の成果が現われている。しかも、かつての展覧会の会場だった資生堂画廊の一部を美術館の中に再現してそこで当時のまま絵を見せたり、「画布購入票」や「絵画慰問行動計画」を展示することで戦時下の絵描きの暮らしを浮き彫りにするなど、展示の仕方にも工夫が凝らされている。麻生三郎夫人へのインタビューをまとめた記事やメンバーの動向と当時の美術界、政治社会の動きをまとめた年表を収めた図録も、充実した内容。こうした地道な研究の成果が存分に現われた展覧会は、もっと評価されるべきだし、もっと見てみたい。

2009/01/09(金)(福住廉)

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