artscapeレビュー
放浪の天才画家 山下清
2009年02月01日号
会期:1/2~1/7
東急東横店西館8階特設会場[東京都]
「裸の大将」としていまも高い人気を誇る、山下清の大々的な回顧展。初期の「ちぎり紙細工」から、日本全国を放浪して描いた「貼絵」、さらには句読点が一切ない日記、ヨーロッパを描いたペン画、陶器、記録映像などを網羅的に展示した。なかでも興味深かったのは、ゴッホの墓を訪ねたとき、その隣の墓のほうが格好良かったにもかかわらず、ゴッホの墓を描けといわれて、仕方なく描いたというエピソード。「天才」という神話が、決して純度100%であるわけではなく、ある程度は人為的に作られたものであることを、山下清自身が物語る、貴重な証言だった。
2009/01/06(火)(福住廉)