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李祖原《宏国大樓》

2009年04月15日号

[台北(台湾)]

竣工:1989年

台湾では、李祖原の作品を多く見た。台湾の建築家で世界的に知られている人物は少ない。近代建築は日本統治時代のものである。I.M.ペイは、台湾にも建築をつくったが、中国系アメリカ人建築家である。20世紀後半の台湾を代表する建築家は、間違いなく李祖原だといえる。李祖原のなかでも、ポストモダン・ヒストリシズム建築の代表作とも言えるのがこの宏国ビルであり、形態からはマイケル・グレイブスや磯崎新の建築も彷彿とさせる。建築的要素のスケールをところどころ極端に変えたようなデザインが特徴的であり、なぜか超合金ロボットを見ているようでもあった。同日、彼のハイテク風、ルシアン・クロール風などの別の建築も見たのだが、さまざまなポストモダン建築を一人で体現しているのはすごい。

関連URL:http://tenplusone.inax.co.jp/archive/taiwan/taiwan-002.html

2009/03/28(土)(松田達)

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