artscapeレビュー

今井久美 写真展「カムフラージュ」

2009年04月15日号

会期:2009/03/24~2009/03/29

アートスペース虹[京都府]

前回はおたく、ロリータ、古着、ギャルなど「○○系」とカテゴライズされるファッションをそれぞれに身にまとった若い女性たちの写真を発表。集団として群れる安心感や、特定の趣向のグループに属する自分を観察し、アイデンティティの問題にアプローチした今井。今回は街中の風景を背にした制服姿の女子高生を撮影していた。スカートやソックスの丈、ヘアスタイル、携帯ストラップやバッグなどの小物が、それぞれの個性やいまの流行を示しているが、今回は、個性よりも制服という制限を隠れ蓑に、むしろ目立たない、突出しないという没個性を望む潜在意識に焦点を当てている。今井はそこに自分の姿を重ねているのだが、そのような集団に自らの身を置き、「カムフラージュ」させていくことは意外と高度な技だし、繊細な面がなければできないことだ。コロコロとつねに変わりゆく流行をつねに観察し、情報に敏感でなければならないし。今展で、若い女子高生の写真から現在の流行をいくつか知ったのだが、そこで今井とは逆に「カムフラージュ」することに鈍感になっている自分に気づいた。

2009/03/28(土)(酒井千穂)

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