2019年09月15日号
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artscapeレビュー

吾妻橋ダンスクロッシング2010

2010年08月01日号

会期:2010/07/16~2010/07/18

アサヒ・アートスクエア[東京都]

 「重苦しい感じ」というのが第一印象(ぼくが見た回には、ライン京急、スプツニ子は出演せず)。機械仕掛けでかかしのカップルを空中で踊らせた宇治野宗輝の薄暗い雰囲気が冒頭を飾る。off-nibrollの「ギブ・ミー・チョコレート」は「チョコレート」という矢内原美邦の旧作を第二次世界大戦的戦争の問題へとアレンジし直すことで、暗さ(具体的には黒)の強烈なイメージが浮かび上がった分、旧作にあったデリケート(な他人との接触の感覚)さが蒸発してしまっていた。飴屋法水の作品では、三人の人物が舞台に並び自分語りをするのだが、真ん中の男が絶望的な個人的ストーリー(薬物摂取や望まぬ妊娠と出産について)を絶叫するので、他の人物の話が聞き取れない。チェルフィッチュは登場人物が1人。先日の「ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶」の最後のパートについて、それを演じた主人公が映像を脇に置いた状態で解説するというスピンオフ的趣向。それはチェルフィッチュが今回の公演に本腰を入れていないと思わされる内容で、正直見る者に脱力を催させた。最後に登場した遠藤一郎は、こうした重苦しい舞台の空気に巻き込まれていった。出演者それぞれの能力が十分に示されているとは思えなかった、と言わざるをえない。残念。ダンス、演劇、美術などの作家を集めたという点で公演タイトルにある「クロッシング」の含意は明確だった、その一方「ダンス」の意味合いが明確ではなかったというのが大きい。東京ELECTROCK STAIRSがいたじゃないかって? そ、それが答えなのでしょうか。

2010/07/17(土)(木村覚)

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