2019年08月01日号
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artscapeレビュー

詫摩昭人 展 逃走の線─サハラへ

2010年08月01日号

会期:2010/07/01~2010/07/06

紀伊國屋画廊[東京都]

一見するとモノクロームの風景画。だがよく見ると、画面の全体に無数の線が垂直方向に走っている。作家によれば、油彩が乾かないうちに刷毛を一気に引きおろすのだという。サハラ砂漠の荒涼とした光景は、おびただしい線条によって、あたかも砂漠に雨が降っているかのようにも見えるが、対象の輪郭をあえて漠然とさせることに「逃走の線」というコンセプトのねらいがあるようだ。それは対象を写実的に再現することから逃れ、あるいは抽象化の手続きに則ることからも逃れるために開発された絵画的な方法なのだろう。今回の場合は寂寥感のある光景だったため、直線による茫漠がロマンティシズムとあまりにも直接的に結びついていたように思われたが、別のモチーフでは意外な効果が生まれるかもしれない。

2010/07/05(月)(福住廉)

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