2019年08月01日号
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artscapeレビュー

束芋:断面の世代

2010年08月01日号

会期:2010/07/10~2010/09/12

国立国際美術館[大阪府]

横浜美術館で開催された個展の巡回だが、会場構成と一部の作品の展示スタイルが異なっており、横浜とは一味違う仕上がりとなった。特に迷路のような導線は、束芋の世界観とシンクロして効果的だった。映像作品は前半の団地をテーマにしたものと、後半の内省的な作品に二分されるが、筆者は後半の作品に可能性を感じた。デビュー以来、現代社会に対するシニカルな批評性云々で語られてきた束芋だが、その固定化した肩書きをもうそろそろ外してもよいのでは。展覧会の中間部には新聞小説『惡人』の挿絵がずらりと並んでおり、実に壮観。線の魅力こそ彼女の最大の魅力だと改めて実感した。また、『惡人』からインスパイアされた映像インスタレーション《油断髪》が放つ不穏な気にも圧倒された。

2010/07/09(金)(小吹隆文)

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