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美術に関するレビュー/プレビュー

あいちトリエンナーレ2016有識者部会、あいちトリエンナーレ実行委員会運営会議

会期:2014/10/29

愛知芸術文化センター[愛知県]

あいちトリエンナーレ2016の有識者部会と実行委員会の運営会議に出席した。港千尋芸術監督が、テーマ「虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅/Home Faber : A Rainbow Caravan」とコンセプト、また人類が最初に使ったであろう土の黄色を用いたメインヴィジュアルを説明する。「虹のキャラヴァンサライ 創造する人間の旅」は、一定の方向性を示しつつ、展覧会を構成しやすいテーマだと思う。空間/時間的にもっとも遠い宇宙への探査機と先史時代の洞窟に触れて、創造する人類の旅のイメージを打ちだしながら、芸術祭そのものをキャラヴァンサライ(旅の家)と定義する。また「虹」という比喩は、自然と人間、知性と感性のあいだをつなぐ諧調であり、また本来は同根のアルスだった芸術と技術を架橋するものだろう。そしてオペラやパフォーマンスも含むあいちトリエンナーレの特徴である多分野について、諸ジャンルが分化する以前の原初へとたち戻ろうとする試みになっている。

2014/10/29(水)(五十嵐太郎)

東京ミッドタウンアワード2014 受賞作品展示

会期:2014/10/17~2014/11/09

東京ミッドタウン プラザB1[東京都]

アートとデザインの2部門からなるコンペ。アートはテーマなしで6点が受賞。おもしろかったのは、コンクリートブロックを積み重ねた小さな壁に雑草が生えた原田武の作品と、道端に停まってる車を後ろから撮った加藤立の写真。だが原田の作品は素材がコンクリートでも植物でもなく、すべて金属でつくってるところがつまらなかったし(本人はたぶん金属でつくらなければ意味がないと思ってるはずだが)、逆に加藤は自分の誕生日と同じナンバーの車ばかり撮って毎日入れ替えるという、意味のないところがおもしろかった。原田はグランプリ、加藤は準グランプリを獲得。デザインは「和える」というテーマの下、8点が受賞。これで肉や魚を焼くと和文様がつくhitoeの《和網》、レインコートを鎧風にデザインした85の《鎧カッパ》、ハーモニカ型の皮にアンコを包んだwunit design studioの《ハーモナカ》、割れたせんべいを金でつないだ泉美菜子の《金継ぎ煎餅》、果物に刺す楊枝の先に「大吉」とか「小吉」とか書いた土屋寛恭の《おみく枝》など、なるほどと思う佳作が多い。グランプリ、準グランプリは《和網》と《鎧カッパ》。アートとデザインを比べるのもなんだが、はっきりいってアートは低調だ。それは応募総数でも差がついたし(アート357点、デザイン1,072点)、観客の投票数にも表われている(10月28日現在、アートは最低564票、最高1,080票、平均727票に対し、デザインは最低953票、最高2,980票、平均1,703票を獲得)。アートはデザインより興味を持たれてないということだ。でもデザインのほうが発想がせこいぞ。

2014/10/28(火)(村田真)

堀浩哉 展「起源」

会期:2014/10/18~2014/11/09

多摩美術大学美術館[東京都]

多摩美教授だった堀の退官記念展。最初の展示室は70年代のインスタレーションとパフォーマンスの再現(どちらの用語も当時まだ流通してなかったが)。床にぐしゃぐしゃにした新聞紙を敷き、壁には「REVOLUTION」という言葉を文章に挟んだ紙を貼り、その手前にグルッと木枠を立て、一部に白い布をかけている。そのなかで行なわれた堀ともうひとりのパフォーマンスの映像も流されていて、布を動かしながら「走れ!」「レボリューション!」「勇気!」「レボリューション!」「元気!」「レボリューション!」と掛け合いをやっていくのだが、これがナンセンス劇のようでおかしい。展示のほうは、高校3年のとき富山県展に出した油絵に始まり、多摩美闘争時代の《鑑賞を拒否する》、パフォーマンスの記録写真、3原色を用いた「プラクティス」シリーズを経て、80年ごろから始まる抽象表現主義的なタブローに移行していく。大作絵画は壁に1、2点だけ飾り、小品やドローイングは壁一面を埋め尽くすようにびっしり並べている。全体に簡潔で、説得力のある展示になっている……のだが、なにか足りない気がする。説得力があるのに足りないのではなく、むしろ説得力があるからこそウンウンとうなずいてしまい、そこになにか大切なものが抜け落ちてしまってる気がするのだ。高校時代は自分の描いた絵に納得できず、大学に入って「自己埋葬儀式」を行ない、闘争に身を投じたものの絵筆は折らず、絵画を解体して1から再構築し、やがてモネの晩年の絵に出会って描くことに没入していく……。展示を見ると、そんなひとりの画家の紆余曲折に満ちた歩みが、たった4室の小さな美術館のなかで30分ドラマのごとく完結してしまっているように見える。そこに違和感を覚えるのだ。しかも、そこが闘争で中退したものの30数年後に教授として迎えられた多摩美の退職記念展という場であってみれば、なおのこと「めでたしめでたし」で終わってはならないだろう。もっと大きな会場で、すべての作品を見てみたくなった。

2014/10/27(月)(村田真)

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三浦徹コレクション 生誕100周年記念 あるがままに生きた画家 タカハシノブオ 叫ぶ原色・ものがたる黒

会期:2014/09/23~2014/11/24

BBプラザ美術館[兵庫県]

本展を見たのは偶然である。ある仕事のために神戸を訪れ、予定より早く着いたものだから、暇つぶしのつもりで美術館に入ったのだ。タカハシノブオ(1914~1994)のことなどまったく知らなかった。彼は波乱の人生を歩んだ画家だった。2度の従軍、妻の死、生活苦ゆえの幼い娘との離別……。その後、高度成長期の神戸の片隅で、肉体労働をしながら一心不乱に描き続けたのだ。タカハシの作品は具象を基本としているが、なかには抽象化してしまったものもある。画面を覆う黒と、暗闇のなかで輝くような彩色が特徴だ。絵の特徴を一言でいうと「ハングリー」に尽きる。満たされぬ思い、ままならぬ生活、底辺から見た社会、愛し愛されることへの飢え、それら諸々の感情が画面に塗り込まれ、ギラギラとした迫力で見る者に迫るのだ。また、彼は詩作も行なっており、118点の絵画と共に10点の詩が出品されていた。こちらも絵画と同様の魅力を持つことを付記しておく。無名のまま没した画家が、20年の時を経て適正な評価を受ける時がやって来た。その第一歩となる機会に、偶然とはいえ立ち会えたことを幸運に思う。

2014/10/26(日)(小吹隆文)

BankART Life IV 東アジアの夢

会期:2014/08/01~2014/11/03

BankART Studio NYK[神奈川県]

会場間をつなぐバスでBankARTへ。あいちトリエンナーレではできなかったが、こうした無料シャトルバスの存在はありがたい。「東アジアの夢」を再び見る。これまでの企画展や海外交流など、BankARTの活動の集大成的な内容だ。あいちトリエンナーレに参加した山下拓也も展示壁を素材に作品を制作している。




山下拓也《L.A coHAMA OLYMPIC 14》2014


2014/10/26(日)(五十嵐太郎)

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