2017年11月15日号
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artscapeレビュー

Chim↑Pom展「SURVIVAL DANCE」(再レビュー)

2011年11月01日号

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会期:2011/09/24~2011/10/15

無人島プロダクション[東京都]

先月のレビュー欄でChim↑Pomの「SURVIVAL DANCE」のことを書いた。しかし、レビュー公開後、知人の話からぼくが見過ごした映像のあることがわかり、編集の方に一旦公開を中止してもらい、再度ギャラリーに赴き確認することにした。関係者各位へのお詫びとともに、再度見て考えたことを以下にレビューさせていただく。「見過ごした映像」とは、クマネズミをメンバーたちが捕獲する模様だった。先月のぼくのレビューでは「捕獲シーンがない」という嘆きが主たる論点だった。ゆえに、この見過ごしは大きなミスである。
ミスを犯した理由を述べておきたい。展示の場である無人島プロダクションの天井裏は、今回細工がしてあって、はしごを上ると三カ所から覗けるようになっていた。そこでは、ミラーボールが輝きTRFの「survival dAnce」が流れ、黄色く彩色された剥製ネズミたちが遊んでいた。さらに、クマネズミの食事の模様があちこちと10台近く配された小さいモニターに映っていた。問題はこのモニターだった。ぼくは三カ所の覗き窓のうち一カ所だけに首を突っ込んで「捕獲シーンがない」と判断を下してしまった。しかし、そこからでは見えない角度にあったモニターに捕獲のシーンが映っていたらしいのだ。つまり、すべての覗き窓に首を突っ込んでおけばよかったのに、それを怠ったということだ。

参考:Chim↑Pom展「SURVIVAL DANCE」(2011年10月3日号のレビュー)

http://artscape.jp/report/review/10014183_1735.html

再見した「SURVIVAL DANCE」

9月25日の初見から18日後の10月13日、あらためてギャラリーに赴く。すると驚いたことに、9月にはなかった大きめのモニターが壁に据えられ、捕獲の模様が流されていた(どうもぼくのような人間のために加えられたものらしい)。また、ぼくの見過ごした覗き窓(このときには覗き窓は二カ所になっていた)からも、小さいモニターで同じ映像を見ることができた。
「捕獲シーン」はあった。あったのだが、ぼくの気持ちは複雑だった。「捕獲シーン」があることで、彼らのパフォーマンス的性格(先月のレビューの言葉で言い換えれば「出来事を招いてしまう傾向」「巻き込みつつ巻き込まれる」という性格)は際立つはずで、確かにそうなっていたかも知れない。けれども、再制作ゆえのことととらえるべきか、映像を見ていても既視感に囚われてしまい、ネズミとの接近遭遇の光景にぼくは興奮できなかった。ワーキャーと叫びながら腰砕けの姿勢で網を手にする彼らの姿は数年前と同様ユーモラスだが、ぼくには「捕獲シーン」というより「捕獲シーンの再演」に見えてしまった。ネズミが短期間に進化するのと同様に、Chim↑Pomもまたこの数年で成長したはず。しかし捕獲方法に前回と大きな変化がなかった、このことに違和感を抱かされた。両者のガチバトルが見たかった。そうして、生命の力に肉薄してこそ「SURVIVAL」のテーマは輝くはずだと思うからだ。また、もしそうであるならば、Chim↑Pomの〈クマネズミ化〉あるいは彼らに拮抗するような野性的能力を獲得する姿こそ彼らが展示すべきものなのではないか、と想像が膨らんでしまった(遠藤一郎がほふく前進パフォーマンスを日々遂行する過程で、強靭な筋肉質の身体を獲得したことが思い出される)。その点で併置してみたいのが、フェスティバル/トーキョー関連の公演(というよりは展示)であるカオス*ラウンジの「カオス*イグザイル」(2011年10月22日~11月6日@アキバナビスペース)で、秋葉原のビルの元飲食店らしい部屋の壁を、アニメ少女の落書きやなにかで汚した様子は、まるで弱い小生物が集団で棲みついた跡のようで、汚い分、生命の息づかいを感じさせた。一方、野生を殺し剥製にしたうえで直立させるなど、Chim↑Pomのやり方は動物を人間化する行為ととれなくもない。そうしたところから垣間見えるのは、Chim↑Pomの二つのベクトル、つまり野生に共鳴する動物化のベクトルと人間性を重視するベクトル(社会問題に介入し、平和を希求する振る舞いも含む)とをどう折り合わせ見る者がはっとする融合を生みだすのかという課題だ。この課題にどう立ち向かっていくのか、その視点から今後のChim↑Pomの活動に注目してゆきたい。

2011/10/13(木)(木村覚)

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