2017年11月15日号
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artscapeレビュー

Chim↑Pom「SURVIVAL DANCE」

2011年11月01日号

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会期:2011/09/24~2011/10/15

無人島プロダクション[東京都]

Chim↑Pomが凄まじい力を発揮するときというのがある。社会に自分から介入しておきながら、自分たちでは制御しえない出来事を招いてしまうときだ。だからと言って、諸々の事件やお騒がせな若者というイメージが生むセンセーションのことは本質的ではないので無視しておこう。大事なのは、「巻き込みつつ巻き込まれる」出来事を計画し実行するということを彼らが自らの方法にしてきたということだ。さて、今回の展示である。ぼくが彼らに期待する「凄まじい力」が十分に発揮されたか、といえば「さほどではなかった」というのが正直な感想だ。はっきりしていたのは「Chim↑Pomのなかの絵画/彫刻的傾向」が、前述した「出来事を招いてしまう傾向」に勝っていたこと。スーパーマーケットで目にするイメージを、「平和の火」(福岡県星野村)で板をあぶる手法で描いた作品。同じく平和の火に関連しているのだろう、火で地面に同名作のタイトルロゴなどを描く作品《BACK TO THE FUTURE》。エリイがカンボジアの射撃場で投影されたハリウッド映画の銃撃戦に向かってライフルを打ち続ける作品《Ellie VS Hollywood》(無数の弾丸が打ち込まれたボード/スクリーンは、ニキ・ド・サンファル「射撃絵画」を連想させる)。福島で制作された《Destiny Child》は砂でできた子どもの彫刻を写真に収めたものといえるが、以上のどれからも「不測の事態」は発生していない。なかでも気になったのは、彼らのデビュー作にして代表作であり、あらためて制作された黄色いネズミたち《スーパーラット showcase》で、以前は剥製のほかに捕獲の映像シーンが作品の一部として上映されていたのだが、今回はその捕獲映像がなかった。ギャラリーの天井にミラーボールとともに10台近くのモニターが置かれ、そこには都会のネズミたちのたくましい生態が映し出されているのだけれども、そこにChim↑Pomたちが映り込むことはない。あの、キャーキャー言いながらネズミと格闘する映像こそ、この作品の核だと思っていたので残念だ。そうした例もあげられるように、展示タイトルの「SURVIVAL」「DANCE」のワードはともに、彼らの過去作品のほうにより濃厚に結晶化されている気がしてしまうのだった。

参考:Chim↑Pom展「SURVIVAL DANCE」再レビュー(2011年11月1日号)

http://artscape.jp/report/review/10014180_1735.html

2011/09/25(日)(木村覚)

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