2017年11月15日号
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artscapeレビュー

グレート・ザ・歌舞伎町「OUTSTANDING」

2016年06月15日号

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会期:2016/04/29~2016/05/29

STÜSSY SHINJUKU CHAPTER 2F[東京都]

昨年(2015年)、Bギャラリーとトーキョーカルチャート by ビームスの2会場で個展を開催し、写真集『Great The Kabukicho』(Doumori Publishing)を刊行したグレート・ザ・歌舞伎町。その時も感じたのだが、写真を中心に扱う雑誌メディアがほぼ壊滅状態の現在、時代と社会とに真っ向から対峙し続けようとする彼の姿勢は、稀有で貴重なものになりつつある。今回、新宿・歌舞伎町からも近いヒップホップ系のアパレル店で開催された新作展「OUTSTANDING」も、志の高さを感じさせるいい展示だった。
中心は、ヒップホップやブレイクダンスのレジェンドたちのスナップ的なポートレートだが、それだけに収束させることなく、より広がりのある被写体を撮影している。クエンティン・タランティーノや立木義浩などのポートレートもあり、大相撲の白鵬は最近集中して撮影しているのだそうだ。どの写真も技術的なベースがしっかりしているので安定感がある。被写体への向き合い方ものびやかで無理がない。現代社会の本質を、むしろ表層的な事象を通じて探り当てようとする姿勢が見事に一貫しており、写真にはすでに風格さえ漂っている。「ドキュメント」としてのクオリティの高さと、エンターテインメント性を両立させることで、見応えのある写真展になっていた。
むずかしいのはむしろこれから先で、大量かつ効果的に視覚的な情報を伝達していた雑誌メディアが機能不全に陥っている現在、どのようなかたちで写真を発表していくべきなのかが問われている。写真集やギャラリーでの展示もむろんそのひとつだが、ほかにも何か抜け道がありそうな気がする。写真のパワーを保持しつつ拡張していく、よい手段はないだろうか。

2016/05/26(木)(飯沢耕太郎)

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