2017年11月15日号
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artscapeレビュー

没後40年 髙島野十郎展──光と闇、魂の軌跡

2016年06月15日号

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会期:2016/04/09~2016/06/05

目黒区美術館[東京都]

東京帝大を首席で卒業したのに周囲の期待に反して画家の道を選び、美術団体に属さず家庭も持たずひたすら画業に専念し、にもかかわらず作品が売れることも名が知られることもなく、孤独のうちに亡くなったという生涯を追うだけでも泣けてくる。画家・ 髙島野十郎だ。でもいちばん泣けてくるのは、太陽のように裸眼では見えない光や、雨や雪や川の流れやロウソクの炎みたいに絶えず変化する現象や、木の枝1本1本や葉っぱ1枚1枚のように細かすぎて描きにくいものを、愚直にも描き尽くそう、いや描き尽くさずにはいられないという画家の業みたいなものを保ち続けたことだ。ひょっとしたら髙島の場合、画家の業だけでなく東京帝大で研究した学者としての業も加わっているかもしれない。彼は経験を通してフラクタルの概念をすでに体感していたはずだが、それをコンピュータではなく油絵というドン臭いメディウムを通して表現しようと半世紀以上を費やしたのだ。ま、一言でいえば「バカ」である。それが泣けるのだ。

2016/05/13(金)(村田真)

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