artscapeレビュー

第9回展覧会企画公募

2016年04月15日号

会期:2016/02/27~2016/03/27

トーキョーワンダーサイト本郷[東京都]

作品公募ではなく、展覧会の企画を公募し、3点の入選プランを展覧会として実現させるもの。見た順に記すと、まず、門馬美喜企画の「Route/59ヶ月」。大震災の混乱のさなかに生まれた5歳になる子供に、福島県相馬市と東京との移動中の風景をカメラで撮ってもらい、それを元に描いた絵を大小合わせて30点ほど展示している。どれも人物がほとんど出てこない殺風景な絵ばかりで、小品は壁にランダムに並べ、100号前後の大作は壁に立て掛け、片隅には角材やスチロールの木っ端を置き、全体に投げやりな空気を漂わせている。次はエ☆ミリー吉元企画の「バロン吉元の脈脈脈」。これは企画者の父である漫画家バロン吉元の作品展だが、原画だけでなく80年代から手がけるようになったイラストやタブローも紹介している。展示は時系列ではなく、正面に100号3枚を横につないだ白黒の巨大タブローを据え、両側に原画やイラストなどを交互に配列。最後は高川和也企画の「ASK THE SELF」で、「いかにして今を生きることが可能か」を問うための試みとして映像を上映。母親らしき女性が登場し、対話ならぬ対話が重ねられる(途中で出たのでどういう展開か知らないが)。図らずも3本とも親子のコラボレーションであり、図らずも3本とも展覧会企画というより、展覧会そのものであった。

2016/03/24(木)(村田真)

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