artscapeレビュー
第60回 表装・内装作品展
2017年06月15日号
会期:2017/05/20~2017/05/27
東京都美術館[東京都]
昨年に引き続き「千人仏プロジェクト」を見に行く。これは東日本大震災の被災者に千体の仏画を木炭で描いてもらうという計画。昨年は930体余りだったが、昨秋ようやく千体を突破、表装した計1006体の仏画が床から天井まで埋め尽くすさまは圧巻。いちおうフォーマットが2パターンほどあるようだが、フォーマットどおりに忠実に描く者もいれば、サル顔やタヌキ顔に改変するヤツ、原型を留めないほど崩すヤツ、主催者の意図を忖度しない投げやりなヤツもいて、興味深いものがある。さて、これを今後どうするかが問題だ。
ところでこの「表装・内装展」、当然といえば当然ながら、大半の出品者は図(絵)より地(表装)を見せようとするのだが、なかには変わり種もいる。例えば石井三太夫は、床の間の大きな写真を壁に掛け、そのなかに清水の舞台を描いた掛軸を掛けるという二重構造の作品を出品。コンセプチュアルな掛軸の試みだ。また、小鍋篤志は「うんこ」の文字をとぐろを巻いたかたちの絵文字に仕立てて軸装している。タイトルもそのまま《うんこ》。勇気あるなあ。
2017/05/24(水)(村田真)