artscapeレビュー
第40回学生設計優秀作品展─建築・都市・環境─(レモン展)
2017年06月15日号
会期:2017/05/03~2017/05/06
明治大学駿河台校舎アカデミーコモン2F[東京都]
レモン画翠の学生設計優秀作品展の40周年記念シンポジウムに出品者OBとして登壇。門脇耕三の司会で、坂牛卓、古澤大輔、西牧厚子、中川エリカらの各世代が語り、時代の違いを明らかにしていく内容だった。卒計イベントは、どうしても横軸に同時代を可視化するものばかりだが、縦軸で切り取れるのは長い実績を誇るレモン展ならではだろう。シンポジウムの冒頭で報告された、学生のワーキンググループが制作した過去のレモン展出品者1,869人の追跡調査とアンケートのまとめが興味深かった。ネットベースで調べたというフィルタリングはあるけれど、その後の職種は第30回頃までアトリエ系が多かったのが、第31回以降は組織系事務所に逆転されるというのは考えさせられる。これは実感に近い。ちなみに、1990年に筆者がレモン展に出したときの会場は、お茶の水スクエアだった。いまのような作品集はなく、簡単なリーフレットのみである。また当時は全体の講評会はなく(学内でもなし)、建築家の講演会が開催されたのみ。ほかに卒計イベントもなく、SNSつながりもなく、卒計を出したら、とっとと海外旅行に出かけるのが普通だった。個人的にはあまりにもメディア化した卒計イベントに自縛される必要はないのではと思う。ほかに触発されるものは多々あるはずだ。
2017/05/05(金)(五十嵐太郎)