artscapeレビュー
大英自然史博物館展
2017年06月15日号
会期:2017/03/18~2017/06/11
国立科学博物館[東京都]
ロンドンの自然史博物館はぼくの好きなミュージアムのひとつ。動植物の装飾で飾られたロマネスク様式の建物といい、ディプロドクスの骨格標本が鎮座する中央ホールといい、昔ながらの古きよき博物館の面影をとどめているからだ。んが、今回の展覧会では残念ながら、そうした博物館の全盛期ともいうべき19世紀の香りが伝わってこない。出品は目玉の始祖鳥の化石をはじめ、さまざまな動植物の標本、オーデュボンの鳥類図譜、ベスビオ火山から採集した岩石、ダーウィンの『種の起原』手稿、日本への探検で発見された隕石など。それらが学者単位、探検単位で分類・展示されているのだが、ちっとも胸が躍らないのだ。それはおそらく出品物のせいではなく、会場が地球館と呼ばれるモダンな建物の貧相な地下空間だからではないか。ラスコーの洞窟壁画展なら地下でもいい、というより地下のがいいが、今回はそうはいかない。どうせなら、本家にはかなわないものの、築80年以上を誇るクラシックな日本館を会場にしてほしかった。
2017/05/12(金)(村田真)