artscapeレビュー

藤幡正樹「E.Q.」

2019年10月01日号

会期:2019/07/06~2019/08/31

東京画廊[東京都]

壁に魚眼レンズで撮ったような映像が映し出される。よく見ると映像の中心にカメラが仕掛けられ、観客を含めた画廊空間全体が映し出されるのだが、その動画イメージの中心にブラックホールのような黒い穴ができたり、楕円形につぶれたり反転したり、動き続けている。奥の部屋には白い枕が置かれていて、近づくといきなり虫みたいなものが湧いてくる。これも正面に据えたカメラが捉えた観客の姿を細胞のように細かく分けて再生したもの。大ざっぱな原理はわかっても、なにをどうすればこういう映像が得られるのかさっぱりわからない。それはぼくの知識の問題だが、ここでは視覚技術がどこから視覚芸術になるのかが問われている。

2019/08/30(金)(村田真)

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