artscapeレビュー
メガロマニア植物学
2019年10月01日号
会期:2019/05/21~2019/10/06
JPタワー学術文化総合ミュージアム インターメディアテク[東京都]
人が乗れるほどのオニバス、直径1メートル近いフキの葉、長さ2メートルもあるタビビトノキの葉……。巨大植物の標本ばかりを集めている。生物の姿をできるだけ実物のまま博物館で見せるにはどうすればいいか? 動物なら剥製や骨格標本にできるが、植物の場合は組織が柔らかいためオリジナルの形状や色彩を保つのは難しい。押し花程度ならまだしも、巨大植物を無理に標本化しようとすると、パリパリにひからびて形が崩れてしまいかねない。それなら絵に描いたほうがオリジナルに近いし、なにより美しい。でも博物館屋はあくまで実物標本にこだわる。その結果、なにやら現代美術に近づいたような……。これを延長させると、ボルヘスの「原寸大の地図」にいたるかもしれない。
2019/09/06(金)(村田真)
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