2020年06月01日号
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artscapeレビュー

SDL:Re2020

2020年04月15日号

会期:2020/03/08

せんだいメディアテーク[宮城県]

毎年、3月は仙台で会おう、というかけ声のもと、全国から2000人以上の学生が集まり、卒業設計日本一決定戦を開催する「せんだいデザインリーグ(SDL)」。このイベントは、せんだいメディアテークの年間行事のなかでもブロックバスター的な動員を誇るものだ。しかし今年は開催直前に、新型コロナウィルスの感染防止のため、イベントの自粛を安倍首相が全国に呼びかけたため、いったんは中止を検討していた。2011年は、審査日の後に東日本大震災が発生したため、展示がダメージを受けたが、今回は展示だけでなく、審査そのものがなくなる可能性があった。

しかし、なんとかこの危機を違うかたちで受け止め、可能な方法により代替企画を急いで構築し、実験的な「SDL:Re2020」(せんだいデザインリーグ2020卒業設計日本一決定戦 代替企画)が開催された。せんだいメディアテークの5階、6階を埋めつくす、数百の模型と図面の展示は中止し、その代わりにネットで作品データを送ってもらい、それをもとに無観客の状態で審査員が議論するというものだ。「人が集まってはいけない」というのが厄介であり、スタッフの人数も制限したことが特筆される。



「SDL:Re2020」の運営をめぐる会議風景

急遽、スタイルが変わった企画に対し、200余の作品が集まった。従来に比べると、大幅に応募数は減ったわけだが、逆に言えば、作品ひとつあたりにかけられる時間が増えたことは、悪くなかったように思う。出品数が600を超えたときなどは、どうしても瞬間的に多くの情報を伝達する模型に頼ってしまう。だが、今回は模型がなく、じっくりと作品のファイルを読み込む審査だった。そのせいか、時間の中で変化していくタイプの作品が多く残ったかもしれない。



「SDL:Re2020」の審査風景

当初、20まで作品を絞り込んだ後は、シンポジウム形式で議論する予定だったが、審査委員長の永山祐子らの強い要望によって、暫定日本一、二、三を決めることになった。結果としては、アナログな産業系の建築が多いことも今年の特徴だったが、そうした傾向を象徴するかのように、海苔と塩の生産施設が暫定日本一に選ばれた。直接対面の質疑は叶わなったが、ネットを通じて、各地にいるファイナリストとやりとりをすることはできた。大勢の観衆の前で舞い上がるプレゼンテーションをよく見ていたので、学生もリラックスしながら質疑に応えたのが印象に残った。今年の実験は、おそらく来年再開される「SDL」の方法にも影響を与えるだろう。



「SDL:Re2020」の配信風景

参考サイト:せんだいデザインリーグ2020(SDL) http://sendaisendai.sun.bindcloud.jp/

2020/03/08(日)(五十嵐太郎)

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