2020年06月01日号
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artscapeレビュー

ジャパン・ハウスと日本文化会館の休館

2020年04月15日号

ジャパン・ハウス、日本文化会館[イギリス、フランス]

新型コロナウィルスの感染拡大でロンドンのジャパン・ハウスが休館となり、4月16日にスタートする予定だった筆者監修による「窓学」展も延期が決定した。直接的な準備は1年以上、2017年の窓学10周年記念展のコンテンツを多く利用していることを踏まえると、数年以上かけて用意してきただけに残念である。一時は日本の方が危なく見られていたので、もし日本のスタッフが現地入りできなくても設営ができるかを検討していたが、その後ロンドンの方が状況が悪化し、館そのものが休館となったので仕方ない。会期は6月末までなので、それまでに復活できればよいのだが、最悪の場合、9月のロサンゼルス、来年3月のサン・パウロへの巡回にまで影響を及ぼすかもしれない。



ロンドンのジャパン・ハウスを巡回予定だった「窓学」の展示スタディ


「窓学」展示品の検討風景


また、これも筆者がキュレーションで関わる、5月13日開始予定だった現代日本の建築家展「かたちが語るとき」も、3月31日に延期が決まった。やはり、パリの日本文化会館が一時休館となったからである。10月にオルレアンのアーキラボへと巡回する予定だが、先が見えない。ちなみにこの企画は、もともとル・コルビュジエが改造した船、アジール・フロッタンで行なうつもりで始めたが、2018年にセーヌ川の増水によって船が沈没し、一度延期になったものである。またその前には、アジール・フロッタンの修復が、リーマン・ショックですでに大幅に遅れていた。したがって、ようやく展覧会が実現できると思っていた矢先の、今回のコロナ・ショックである。


他にも筆者が関わった展覧会では「インポッシブル・アーキテクチャー」展の最後の巡回先、国立国際美術館が休館となったため、2週間早く終わった。また未来都市を描いたSF映画のセレクションで関わった森美術館の「未来と芸術」展は、結局最後の1カ月がなくなった。それでも開催はできたのだから、まだマシなのかもしれない。設営はしたのに、結局オープンできないまま会期が終わり、誰も観ないままになった展覧会が存在することを知っている。現時点で、筆者が人前で喋る講演などの仕事は5つが延期となり、足を運ぶ予定だった演劇やコンサートは10件以上の延期や中止が決定した。このartscapeでとりあげるネタにも困るような状況だが、建築だけは旅行さえすれば見学できると思っていたが、今後は移動制限もかかるかもしれない。この状況であえてよいことを挙げるならば、なくても成立する会議や委員会がなくなったこと、原稿を書く時間がとりやすくなったこと、本を読む時間が増えることだろうか。

公式サイト:パリ日本文化会館「かたちが語るとき」  https://www.mcjp.fr/ja/agenda/quand-la-forme-parle-jp

ロンドン、ジャパン・ハウス巡回企画展「窓学」展  https://www.mcjp.fr/ja/agenda/quand-la-forme-parle-jp https://www.japanhouselondon.uk/visit/coronavirus-update/https://madoken.jp/news/2020/03/6718/

2020/03/19(木)(五十嵐太郎)

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