2021年04月15日号
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artscapeレビュー

SURVIVE - EIKO ISHIOKA  石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか 前期

2021年02月01日号

会期:2020/12/04~2021/01/23

ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)[東京都]

東京都現代美術館で大規模な「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」展が開催されるなど、石岡瑛子の仕事にあらためて注目が集まっている。東京・銀座のギンザ・グラフィック・ギャラリーでは、前期「アド・キャンペーン篇」、後期「グラフィック・アート篇」の二部構成で、石岡のグラフィック・デザイナー、アート・ディレクターとしての活動を概観する展示が実現した。

その前期「アド・キャンペーン篇」を見ると、彼女が1960-80年代において写真とグラフィック・デザインを結びつけ、強力な磁場を形成するのに決定的な役割を果たしたことがよくわかる。資生堂時代に横須賀功光と組んだ伝説的な広告キャンペーン「太陽に愛されよう 資生堂ビューティケイク」(1966)は、いま見てもエポックとなる仕事だが、なんといっても1970-80年代のPARCOの広告キャンペーンが特別な輝きを発している。石岡は広告における写真家たちの役割を重視しており、彼らのインスピレーションやテクニックを積極的に取り込んでいこうとした。横須賀功光をはじめとして、沢渡朔、藤原新也、鋤田正義、操上和美、十文字美信らを次々に起用し、ヌード写真を大胆に使ったり、黒人のモデルを起用したり、インドやモロッコで海外ロケを敢行したりしたPARCOのキャンペーンは、日本の広告写真の表現力がこの時期にピークに達しつつあったことをまざまざと示している。

別な見方をすれば、石岡は高度経済成長がバブルへと向かうこの時代の沸騰するエネルギーをそのまま取り込み、大きく開花させたわけで、バブル崩壊後の1990年代以降になると、企業広告からは明らかに活力が失われてくる。展示を見終えて、1960-80年代をノスタルジックにふり返るだけでなく、その限界を踏まえたうえで、広告写真の冒険と実験の精神をもう一度取り戻すことはできないのだろうかと考えてしまった。

後期:2021/02/03〜2021/03/19

2020/12/09(水)(飯沢耕太郎)

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