2021年10月15日号
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artscapeレビュー

山﨑友也「少年線」

2021年10月01日号

会期:2021/08/28~2021/10/11

キヤノンギャラリーS[東京都]

広島出身の山﨑友也は、物心つく前から宇品線の貨物列車を部屋の窓から眺めて過ごしていたという。4歳の春、「親父のコンパクトカメラ」で貨物列車を撮影し、鉄道写真の魅力に取り憑かれる。その少年時代の夢を実現させ、日本大学芸術学部写真学科を卒業して「鉄道カメラマン」として活動し始めた。今回の「少年線」の展示には、まさにその初心を貫いた写真群が並んでいた。

山﨑の仕事を見ていると、鉄道写真の世界もだいぶ変わってきたことがわかる。かつては、山﨑自身もそうだったように、写真家たちの関心は鉄道の車両に集中していた。それが、「鉄道を取り巻く環境や携わる人々」にも向けられるようになり、車両がほとんど写っていないような写真も登場してくる。今回の展示でも、ツクシの群れをクローズアップで捉え、電車をシルエットで配した写真や、葉っぱから落ちる水滴の中に車両を浮かび上がらせた写真などが出品されていた。特に目につくのは、子どもたちにカメラを向けた写真で、そこにはかつての山﨑の姿が、そのまま投影されているのではないだろうか。

会場の入口に改札口をしつらえ、制帽を被った山﨑がそこで切符のような入場券に鋏を入れてくれる。写真パネルを列車の窓に見立てたり、中吊り広告のようなキャプションを天井から吊したりするなど、インスタレーションも工夫されている。鉄道愛があふれる楽しい展示だった。なお写真展に合わせて、日本写真企画から同名の写真集が刊行されている。

2021/09/13(月)(飯沢耕太郎)

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