artscapeレビュー

スモールワールズ

2024年01月15日号

[東京都]

東京のウォーターフロント、有明にスモールワールズ ミニチュアミュージアムが、2020年にオープンしていたことは知っていたが、ようやく足を運ぶ機会をえた。巨大な物流倉庫を改造した屋内型のテーマパークであり、外観からはほとんどその内部が想像がつかない。あえて言えば、エントランスと道路のあいだに、エヴァンゲリオンの初号機があることくらいだ。国内の類似施設としては、1993年に開園した東武ワールドスクウェアが想起されるが、これは屋外型の施設であり、また模型はすべて1/25で統一されていることが、建築的にはきわめて重要だろう。一方、スモールワールズの特徴は、縮尺を統一していないこと、アニメの都市や非実在の海外建築を含むこと、そして時代を反映して3Dプリンターを活用していることなどが挙げられる。



スモールワールズ エントランス




東武ワールドスクエア サン・ピエトロ寺院とエッフェル塔


主なエリアとしては、宇宙センター、世界の街(フィレンツェや香港風の場所などがあるが、必ずしも写実的ではない)、美少女セーラームーン(ただし、筆者の訪問時は改装中)、関西国際空港(レンゾ・ピアノ設計の建築の断面をのぞくことができる)、エヴァンゲリオンの第3新東京市と格納庫(以上は3階)、2階のカフェにある日本の夜景が挙げられる。



スモールワールズ 宇宙センター 打ち上げ途中



スモールワールズ 世界の街



スモールワールズ 関西国際空港



スモールワールズ エヴァンゲリオン第3新東京市


ワールドスクエアが模型の正確さゆえに、世界の地理や建築史の勉強になるとすれば、スモールワールズはエンターテイメントの要素が強い。例えば、シャトルの打ち上げ、エヴァの発進、そして地下からビルが登場したり、格納する第三新東京市のように、モノが動く。またよく観察すると、建築の周囲や内部に配された人や物など、細部の遊びが多い。これを発見する喜びもあるし、制作者が楽しんでいる様子がうかがえる。さらに来場者は自身の姿を3Dスキャンしてもらい、ミニチュア・フィギュア化してもらえる有料サービスがあり(1/80、1/35、1/24の3サイズ)、館内に一年間設置してもらう住民権付きプランも用意されていた。これは全方位から人間の立体的なデータを瞬間的に測定できるスキャナーと3Dプリンターのシステムがあることで、初めて可能となる。なお、この施設で良いと感じたのは、ミニチュアを制作する現場をバックヤードとせず、来場者が観察できる動線に組み込んでいることだ。ワークショップも開催しており、ものづくりの楽しみを体験できる場になっている。



スモールワールズ クリエイティブスタジオ


2023/12/24(日)(五十嵐太郎)

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