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artscapeレビュー

縄文人展──芸術と科学の融合

2012年07月01日号

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会期:2012/04/24~2012/07/01

国立科学博物館[東京都]

「有珠モシリ人」(女性)と「若海貝塚人」(男性)の2体の縄文人骨。これを上田義彦による写真、国立科学博物館の篠田謙一による解説テキスト、グラフィックデザイナー佐藤卓による会場構成で見せる。会場中央のガラスケースには、ほぼ実際の身体の構成にしたがって骨が並べられている。周囲に配された写真とテキストは縄文人骨の個々の部位を再構成し、いくつもの角度からクローズアップする。虫歯の痕や抜歯の風習、骨折の痕、等々から明らかになるのは、縄文人の特徴、生活のスタイルである。一般的に博物館の展示は研究の成果として再構成された縄文人の姿を伝えることが多いが、細部に焦点を当てた本展は、残された骨から人類学者たちがどのような情報を読み取ってきたのかを明らかにする点で異色であり、とても興味深い試みである。ただ、「芸術と科学の融合」というサブタイトルは大仰で、「科学」の側による「芸術」に対する畏怖を感じさせる。「写真は芸術作品ですので、決してお手を触れないようお願い致します」という注意書きを見るとなおさらそのように思う。「芸術」や「デザイン」をあえて謳わなくてもよい関係をどのように結んで行くのかが、「科学」にとっての次なる課題であろう。[新川徳彦]

2012/06/17(日)(SYNK)

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