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artscapeレビュー

プレビュー:フランス国立クリュニー中世美術館所蔵「貴婦人と一角獣」

2013年08月01日号

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会期:2013/07/27~2013/10/20

国立国際美術館[大阪府]

門外不出といわれる、フランス国立クリュニー中世美術館のタピスリー《貴婦人と一角獣》が、東京・国立新美術館に続き、大阪・国立国際美術館でも展覧される。この6面の連作のタピスリー(1500年頃の作とされる/いずれも3メートルを超える大作)がそろって、日本で公開されるのは初めて。同作に用いられたモティーフに関連する彫刻・装身具・ステンドグラスなどを含め、約40点が出品される。タピスリーの5面は、人間の五感「触覚」(旗を掲げて、一角獣の角に触れている貴婦人)、「味覚」(貴婦人の左手に止まった鳥がお菓子をついばんでいる)、「嗅覚」(花輪を編む貴婦人の後ろに、花の香をかぐ猿がいる)、「聴覚」(オルガンを弾く貴婦人)、「視覚」(貴婦人の鏡に映った自分の姿に見入る一角獣)を表わしているが、残る1面「我が唯一の望み」(青い天幕の前で宝石を手にする貴婦人)の意味するところは未だに明らかにされていないという。とりわけ中世に流行したタピスリーは、部屋にたんに飾られただけでなく、上流階級が領地を移動する際に富や威信のしるしとして持ち運ばれた。館内の隙間風を防ぐ役目もあった。タピスリーに精緻に織られた中世の物語(それが挿話や空想、戯れや恋愛、なんであれ)を、自分なりに読み解く喜び。めったに貸し出されることのない作品と対面するのが楽しみな展覧会である。[竹内有子]

2013/07/17(水)(SYNK)

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