artscapeレビュー

横谷研二 展

2013年08月01日号

会期:2013/07/01~2013/07/06

Gallery K[東京都]

会場の天井から長い立方体が何本もぶら下がっている。表面には細かい網の目模様が全体に広がっており、よく見ると素材はダンボールだった。それらのあいだを縫いながら見て歩くと、来場者の動きに感応してわずかに回転するほど、軽いようだ。離れてみると、回転する立方体の表面に時折モアレが生じて見える。遠景を見透かすほどの浮遊感を覚えた次の瞬間、たちまち網の目がつぶれてソリッドな量塊性が飛び出してくるのだ。無機質な立方体でありながら、回転に応じてその表情を次々と変転させるところが、じつに面白い。求心性にもとづく彫刻の伝統を、これほどまでに軽やかに脱臼させる遠心性は、なかなかない。

2013/07/04(木)(福住廉)

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