2017年11月15日号
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artscapeレビュー

高倉大輔 作品展「monodramatic/loose polyhedron」

2016年09月15日号

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会期:2016/07/29~2016/08/18

Sony Imaging Gallery[東京都]

デジタル化によって画像合成が自由にできるようになると、1人の人物が多数のポーズをとった画像を、同一画面に合成するような作品が簡単に制作できるようになった。高倉大輔のように、もともと演劇に関わっていた写真家にとって、演出力が問われるこの種の写真は、自家薬籠中の物なのではないだろうか。漫画喫茶、映画館、コインランドリー、公園などの日常的な空間に、さまざまなポーズの若者たちをちりばめるように配置していく「monodramatic」のシリーズには、その才能がのびやかに発揮されており、清里フォトアートミュージアムが公募する2015年度ヤングポートフォリオに選出されるなど、評価が高まりつつある。
今回のSony Imaging Galleryでの個展では、その「monodramatic」に加えて新作の「loose polyhedron」のシリーズが展示されていた。モデルに自分自身の喜怒哀楽について「感情のバランスチャート」を書いてもらい、それにあわせて表情をつけ、「レンズからの距離感」を調整して撮影した写真を、モノクロームの画面にはめ込んでいくというポートレート作品である。こちらも、アイディアをそつなく形にしているのだが、そのバランス感覚のよさが逆に物足りなく思えてしまう。感情を喜怒哀楽という4種に固定したことで、そこからはみ出してしまうような部分がカットされ、どの写真も同じように見えてくるのだ。モデルが、若い男女(おそらくほとんどは日本人)に限定されていることも、全体にフラットな印象を与える要因になっているのだろう。
高倉に望みたいのは、あらかじめ結果が予想できてしまうような手際のよさを、一度捨て去ることだ。持ち前の演出能力を発揮する場を、より大胆に拡張していってほしい。例えば、海外で撮影するだけでも、画面のテンションは随分違ってくるのではないだろうか。

2016/08/15(飯沢耕太郎)

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