2020年10月15日号
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artscapeレビュー

GUN 新潟に前衛があった頃

2013年02月01日号

会期:2012/11/03~2013/01/14

新潟県立近代美術館[新潟県]

1967年に新潟県長岡市で結成され、その後も新潟県内を拠点にしながら活動を続けた前衛美術のグループ「GUN」の回顧展。美術家の前山忠と堀川紀夫らメンバーによる作品をはじめ、関係する美術家や美術評論家による作品や資料など、合わせて130点あまりが一挙に展示された。これまでにも、例えばトキ・アートスペースが「GUNの軌跡展」(2009)を催すなど、先行事例がなかったわけでないにせよ、本展は「GUN」の全貌を本格的に解き明かした画期的な展覧会である。
「GUN」の大きな特徴は、それが地方都市を拠点にしながらも、東京やニューヨークなど世界的な大都市の美術の動向と同期していたという点にある。ランド・アートやコンセプチュアル・アート、ポリティカル・アートなど、「GUN」の作品は絶えず変容していたが、そこにはたしかに60年代後半から70年代にかけての世界的な美術の流れが入り込んでいた。1964年に開館した日本で最初の現代美術館である長岡現代美術館の影響力は無視できないとはいえ、地方都市にいながらにしてこれだけの作品を制作していたことには驚きを隠せない。
なかでも代表的なのが、《雪のイメージを変えるイベント》(1970)である。十日町市に流れる信濃川の河川敷に降り積もった大雪原をキャンバスに見立て、農業用の噴霧器などで顔料をまき散らしながら絵を描いた。記録写真やそれらを編集したスライドショーを見ると、冷たい雪の上に広がる色彩の抽象画がじつに美しい。半裸の堀川が真っ赤に染まりながら雪に挑んでいるから、この作品はすぐれたランド・アートであると同時に、肉体パフォーマンスという一面もあったことがわかる。雪という無尽蔵にある素材を最大限に活用することで、世界的な文脈と接続しうる作品を制作したのである。
古今東西、芸術はつねに自然からの贈与によって成り立ってきたことを思えば、「GUN」の活動は自然と近い地方で制作している美術家にとって、ひとつの希望となるのではないか。「GUN」の由来は、「がーん」であり「眼」であり「癌」であり「gun(銃)」でもあったが、もしかしたらそこには「願」も含まれているのかもしれない。

2013/01/12(土)(福住廉)

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