artscapeレビュー
鈴木先生
2013年03月15日号
会期:2013/01/12
映画「鈴木先生」を見る。こうした学園ものにおいて、学校という閉鎖された空間は、しばしば社会、あるいは世界を意味するだろう。生徒会の選挙と卒業生の立てこもり事件を軸に、物語は回転していくが、その根底には完全に制御された社会、すなわち他者が排除された安全でクリーンな空間への違和感が表明される。拙著の『過防備都市』ともかぶる興味深いテーマだ。この映画は批判するだけではなく、未来への一歩を感じさせる救いもある。『桐島、部活やめるってよ』といい、『悪の教典』といい、今年度は学園ものの傑作が続く。日本ならではの状況かもしれない。
2013/02/01(金)(五十嵐太郎)