artscapeレビュー
佐々木健「ジーズ/フーリッシュ/シングス」
2013年03月15日号
会期:2013/01/26~2013/02/23
青山|目黒[東京都]
黄緑色のテニスボールを描いた絵が5点。テニスは西洋で始まったスポーツだが、ボールはブリヂストン製。つまり、西洋発祥の文化を日本人がわがものにして遊ぶという意味では油絵(洋画というべきか)に似ている。しかも画面中央にボールを1個だけ描いてるので日の丸を想起させずにはおかない。ほかに、日本近代美術の流れをチャート化した図を模写したり、周囲に草花模様を刺繍したテーブルクロスを実物大に描いたり、数式や鉄道の路線図を拡大描写したりしている。テーブルクロスや数式・路線図は自分の家族がつくったものに基づいているそうだ。基本的に身近にある「美術のようなもの」を「そのまんま」油絵に移し替えることで「美術」にしている。でもそれがやっぱり「美術のようなもの」にとどまってるかもしれないところがおもしろい。
2013/02/05(火)(村田真)