artscapeレビュー
隈研吾《アオーレ長岡》
2013年03月15日号
[新潟県]
隈研吾が設計した《アオーレ長岡》を訪れた。駅から空中のブリッジを介して直接アクセスできる。これ以前にたっていた石本喜久治のかわいらしいおむすびのような近代建築、《厚生会館》も好きだったが、今回完成した《アオーレ長岡》は現代的なテイストによる地方の公共施設の新しいモデルを示す。ちょうど隈の『小さな建築』を読んでおり、《根津美術館》とは違うかたちで、隈スタイルの集大成と言うべき作品であると思った。《アオーレ長岡》は、屋根が付いた大きな広場を中心に据え、そのまわりに分棟形式で市庁舎の機能を置く。まさに開かれた市庁舎である。後日、『city&life』誌の企画で、隈研吾さんと市庁舎をめぐって対談をしたのだが、やはり、長岡市長の存在が大きかったようだ。経歴も建築学科卒である。建築を変えるなら、建築学科から政治家になる人をもっと増やすのが近道かもしれない。
2013/02/14(木)(五十嵐太郎)