artscapeレビュー

アクションドローイング ヒーロー

2013年03月15日号

会期:2013/01/26~2013/02/24

六本木ブルーシアター[東京都]

韓国からやって来た4人のドローイング野郎ども。歌って踊れるじゃないけど、踊って笑って絵も描く珍しいエンターテインメントショーだ。最初は日本人へのサービスなのか、坂本龍馬のポートレートに始まり(さすがに伊藤博文じゃなかった)、4人がそれぞれ描いた絵を合わせるとマイケル・ジャクソンになったり、黒い画面に黒い絵具で描いてサッと揺するとブルース・リーの顔が表われたり、積み上げたルービックキューブをいじるとスーパーマンの顔になったり、客を舞台に上げて伝言ゲームをしながらウルトラマンの姿を浮かび上がらせたり、「ヒーロー」のテーマに沿って観客を楽しませてくれる。絵もダンスも笑いも二流だけど、もの珍しさも手伝ってあっという間に1時間半がすぎてしまった。こういうアートをエンターテインメントとして見せるショーは、70~80年代にニューヨークのザ・キッチンあたりでもやっていたかもしれないが、忘れたころに韓国から飛び出してきたのが驚きだ。でも比較するのもなんだが、ローリー・アンダーソンのショーなんかに比べれば思想性も批評性もなく、あくまでエンターテインメントに徹している点がいっそ潔いというか。そういえば『誰でもピカソ』をグレードアップさせればこんな感じかも。

2013/02/17(日)(村田真)

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