artscapeレビュー

DOMANI・明日展2013

2013年03月15日号

会期:2013/01/12~2013/02/03

国立新美術館[東京都]

文化庁芸術家在外研修の「成果」を発表する12人の展覧会。といっても派遣された年も国もバラバラだし、ジャンルも絵画・彫刻から、写真、工芸、アニメまで散らばってるので、なんの統一感もない。しかも出品作品は海外で制作されたものとは限らないので、「研修の成果」といいつつ実際には文化庁が選んだ作家たちの個展の集合体と見たほうがいい。これじゃ同時期に別の部屋でやってる「アーティスト・ファイル」と変わんないじゃん。そう、見る側にとっては枠組みなどどうでもいいのだ。絵画は日本画の神彌佐子、リアリズムの橋爪彩と小尾修、細密画の池田学の4人。日本画が抽象で、あとは具象というねじれがおかしい。同じリアリズム絵画でも昔ながらの技法による小尾に対して、美術史や映像イメージを採り入れた橋爪には新しさを感じる。池田の細密なペン画は有無をいわせず圧倒的で、最後にもってきたのは正解だった。あとは、古着の糸を解いて上から吊るした平野薫と、おびただしい数の古靴を赤い糸で結んだ塩田千春のふたりに注目。どちらも糸つながりで、なぜ女性作家は糸を使うのか興味をそそるところ。それはともかく、塩田のインスタレーションはこんなブース内ではなく、大きな会場で個展で見るに限るなあ。

2013/02/02(土)(村田真)

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