artscapeレビュー

生誕百年記念 塔本シスコはキャンバスを耕す

2013年03月15日号

会期:2013/02/15~2013/02/27

くずはアートギャラリー[大阪府]

「枚方市平和の日」記念事業として開催されていた塔本シスコ(1913-2005)の生誕100年記念展。以前、7回忌展が開催されていた京都の画廊でこのポスターを見かけ、枚方市駅前にあるショッピングモール内のギャラリーに足を運んだ。48歳のときに脳溢血で倒れ、その後リハビリをかねて独学で絵を描き始めたという塔本シスコ。数年前、初めて作品を見たとき私はその画面の圧倒的な力強さと美しさ、闊達な趣きに魅了されてしまった。今回会場に展示されていたのは、130×162センチの大きな油彩画や、箱や瓶に描かれた作品など48点。作品の多くには身近な草花や動物、鳥、虫、親しい人々などが描かれているのだが、絵の具を分厚く載せるような筆跡、明るく鮮やかな色彩など、画面はどれも、もの凄い迫力。これまで私はこんなにも大きな作品を見たことがなかったのだが、ほとばしるような活力と生命感に溢れた作品群に再び打たれるような感動を覚えた。訪れたときは来場者もまばらだったのだが、広々とした空間で静かに堪能できたのが嬉しい。


左=展示風景
右=塔本シスコ《枚方市総合体育館前のコスモス畑》

2013/02/20(水)(酒井千穂)

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