artscapeレビュー
トーキョーワンダーウォール公募2015入選作品展
2015年07月15日号
会期:2015/06/06~2015/06/28
東京都現代美術館[東京都]
平面を中心に立体・映像も含めて683点の応募から選ばれた計89点の展示。ちょっと気になる作品をチェックしていくと、アナクロなアングライラスト風の徳永秀之《消失の対価──無能なる報酬》、背後霊がご主人さま(?)のお尻を触ってる庄司朝美《うしろ》、ガラス瓶に囲まれた少女を描く赤池千怜《アンネ・フランクに捧ぐ》など、多くが暗い絵であることに愕然とする。色彩も暗ければテーマも暗い。時代を反映して暗い絵が増えたのか、それともたまたまぼくが暗い絵に反応しただけなのか。と思ったら、最後の暗室で見た桜間級子《バラ色の人生》は、タイトルの曲に合わせて若い女性が闇のなかで踊る映像だが、女性は上半身裸で笑みを絶やさず、しかも踊ってるのはラジオ体操というなんともチグハグな作品。三島由紀夫の『近代能楽集』に出てきそうな作家名ともども(まさか本名?)、明暗も清濁も併せ呑んだたくましさに一条の光を感じてしまった。
2015/06/06(土)(村田真)